クンニ募集

罰ゲームといえば聞こえがいいが、実のところ根底にあるのは虐め。
やっていることはえげつないし、ひとつ間違えれば犯罪になってしまう。
そんな罰ゲームという名の虐めが社内で密かに流行りだしたのは、とある部署の男性が宴会でセクハラ行為をし、それを本社に訴えた……そんな噂が出始めた頃だった。
だから最初はその男の復讐なのではないか、そんなことも囁かれていた。
「クンニ募集、なにこれ?」
「うわっ、クンニなんて卑猥わ、レベルの低い嫌がらせよ」
女子更衣室にある休憩スペースに置かれてあったプラカードにクンニ募集と書かれてあったそれがいつからあったのかはわからない。
だけど私は嫌な予感がした。
なぜならこの中に男性社員をモラハラで訴えた人がいるからだ。
当の本人はレベルの低い嫌がらせと思い取り合わない方向でいるらしい。
私は正直、関わり合いたくないと思った。
進展があったのは週明けの月曜日、社内用のメールにとある画像が一斉送信される。
とある画像というのが、うちの女性社員と男性社員がクンニしている場面だった。
クンニ募集
それはもう、当事者が自撮りでもしないかぎり無理な構図。
当事者の女性は悲鳴をあげ、社内恋愛中の男の名を憎々しい声色で叫んでいる。
翌日は社内で浮気している管理職の男性と総務の新人女性社員がトイレに隠れてクンニをしている画像、とある社員夫妻のクンニ画像など、クンニをしている場面の画像ばかりが一斉送信され続けた。
まさにクンニ募集……
事態を重くみた上層部が捜査する部署を設立するも、まもなくしてこの騒動は沈下する。
後日、これらクンニ募集でさらされた画像の人物たちはセクハラモラハラ、経費水増しなど会社にとってゴミのような存在であると知る。
結果は正義かもしれないけど、やったことはえげつない。
当分、クンニはトラウマになりそうである。
まあ、私の彼はあまりそういうのが好きではなさそうなので、したいと言ってくることはないと思う。
いや、思いたい。
ホ別いちご